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家具、什器等の制作
展示などの構成、制作、施工
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荒大工は建築の設計・施工を行います。
私たちは、「建築とは人の生活、営み、環境、社会のあいだに、むくむくと立ち上がるものである」と考えます。その為には、依頼主との対話、環境との対話、時間との対話、素材との対話、技術との対話、様々な「対話」が重要であると考えます。時間をかけて、対話を重ね、建築やものを作ります。
特に以下の3点について思考し、行動指針としています。
- 集団の中で共働し、環境との関係性をつくる
- 様々な状況、集団、場のなかで大工という職能を活かし、かかわりの中で制作を行います。制作を通して外部環境との関係性をつくり、人間の生に寄与することを目指します。(*1)
- 技術、職能について思考し、実践する
- 大工という職業が好きです。これまでの大工、これからの大工について考え、日々実践、検証を行います。また次世代への橋渡しをしていくことを目指します。(*2)
- 大きなスケールと小さなスケールを往還する
- 尺度、価値観、あらゆる判断基準を並列に並べ検討を行います。その為に大きな視点と小さな視点、大きなスケールと小さなスケールとの間の往還を繰り返し、制作の手がかりを探します。(*3)
*1
ルイス・カーンの言葉に『…人間の合意の感覚が新しいイメージをもたらす力として感じ取られるとき、それは何と人を鼓舞する瞬間でしょうか。(ルイス・カーン建築論集)』という一説があります。人間の合意の感覚を、共同性の感覚であるとカーンは記しています。共同性のなかで建築が立ち上がる時、私たちは大工という職能をもってそこに関わっていきたいと考えています。ある一定の集団や共同体のなかで、能動的に役割を担い、責任を果たしていくこと。それが私たちにとっても、その共同体にとっても生きる力となることを目指しています。またそこで作られる空間は用途を問わず、公共的な性格を帯びるものであることが望ましいと考えています。それは大なり小なり、私たちの日々の行いは本質的に私たちのためのものでなくてはならないと考えるからです。それは私たちの生が環境との関りを持ち続けること対話を行い続ける意思であるとも言えると思います。
ものが、あるいは建築がそこに立ち現れるときに、私たちは言葉で、手で、技術で、その場に関りたい。ともに汗を流し働くことを大切にしたいと考えます。
*2
建築を作るには蓄積された経験と技術が必要不可欠であると考えます。私たちもたくさんの人の手をかり、現場を通して経験・技術を積み上げている過程にあります。
表層的な技術論ではない、ものを作ることの意味を含む、社会的共通資本としての技術のあり方について考えていきたい。産業的に分断されてきた技術を、共通資本としての技術として捉えなおすことができれば、「作る」ということの意味がより開かれた状態になると考えます。
また現場をとおして技術や経験を涵養し育てていける環境を作りたいと考えています。『弟子をしたことのない人間は、弟子をとることができない』そう私に教えてくれたのは、大学を出てわけもわからず大工になりたいと思っていた私を最初に雇ってくれた社長でした。どんな人も環境や状況のなかで、何者かに変容していくのだと思います。受け取ったバトンをどうつなぐのか、それも私たちの使命であると考えています。
*3
チャールズ&レイ・イームズが1977年に制作した「POWERS OF TEN」という映像作品があります。芝生の上でピクニックをする男女を真上から撮影した映像、そこから10秒ごとに10の、べき乗分、上空へと映像が引いていき、町全体を写し、大陸が見え、地球の姿が見える。さらに星雲がチリのようになる。そこから映像はまた近づき、横たわる男性の手の甲の表面を拡大していきます。映像の最後は炭素の原子核を映します。
「建築を考えるときは、大きな縮尺と小さな縮尺を行ったり来たりすることを何度も繰り返しなさい」と教えてくれたのは大学時代の担当教授でした。建物を計画する際には周辺環境だけでなく、大きな地形図も扱います。収納棚の取っ手の形状から、河川の形状まで、往復を繰り返しながら思考、検討、計画をすることでかたちに強度が出ると教えられました。また、その経験からあらゆる物事は自分と地続きに存在するのだということを学びました。
これらのことは建築やもののかたちだけに限ったことではないと考えています。
ある時代の考えや価値観が、時間とともに無効になるということはこれまでにも起きてきたことです。にもかかわらず、認識や価値観に線引きし固定化するという行為をしながら私たちは暮らし、ものを作っています。
多少大雑把でも、さまざまなことを地続きに捉えながらつくることを心がけています。それは間違えないことを前提としたなにかというよりも、出会うことに近い気がします。そしてそれをかたちにしていくことは、生きるということをより鮮明に照射してくれるのではないかと考えています。
荒 達宏/Tatsuhiro Ara
1988年生まれ。大工。東北芸術工科大学 建築・環境デザイン学科卒業。社寺専門の工務店に大工として弟子入りし、各地の現場を巡りながら、伝統工法、技術を学ぶ。その後、家具制作所でのアルバイトを経て2017年に独立。住宅、店舗改修、展示什器などのデザイン、施工を行う。