Architecture & Interior
小白川の宝飾 atelier KIONA
atelier KIONAはブライダルジュエリーをメインに扱うハンドメイドショップである。事業の拡大に伴う新店舗の内装改築工事。鍛造という制作方法を活かし、ワークショップ形式での制作・販売なども行う。店内にはディスプレイだけでなく工房のスペース、ワークショップのスペースなどの様々なスペースが必要になった。既存建物の特徴を活かし、フロアの高さを細かく分けることで、機能を近接させながら見通しのきく店内にすることを考えた。
設計・施工どちらも任せてもらった仕事である。設計は協働で進める。ポイントはいくつかある。細かく考えれば幾つものポイントがあるがおおまかには、施主の求めるもの、ハードとソフト両面のオペレーションとそれらを時系列に考えること、対象敷地の地勢、既存建物の状況、予算などである。荒大工では荒と共同設計者、施主がそれら様々な事案について同じテーブルの席に着くことが重要だと考えている。協働することによって、多様な判断項目と価値基準を共通の選択肢とすることができると考えている。もちろん一筋縄に物事は運ばない。物事を前に進める時、アイデアや経験則が必要になる。時には勢いのようなものの力を借りることもある。そんな複雑で、泥臭いとも言えそうなプロセスをatelier KIONAの皆さんは共に経験していただいた。ありがたいことである。
設計という行為は、過去・現在・未来のなかに「私たち」を位置付けるような行為かも知れないと思うことがある。ものを作ること自体がそういった側面を持っているのかも知れない。そのような大きな問いかけと、小さくても何かをつくるという実践の繰り返しは、毎日の生に主体性という力を与えてくれる。そんな気がしている。